加藤勝信財務相がイタリア・ミラノで行った記者会見で、日本政府が保有する米国債の売却を日米関税交渉の手段として用いる考えはないと明言しました。発言の背景には、トランプ大統領が打ち出した相互関税政策があります。日本を含む主要貿易国に対し最大24%もの関税を課すという方針が示され、これに対抗するかたちで日本政府内でもさまざまな対応策が議論されていました。そんな中、加藤氏が2日に出演したテレビ番組で、「交渉カードとしてはすべて盤上に置きながら議論するのが当然」と語ったことで、一部の海外メディアが「日本が米国債売却を交渉材料とする可能性を示唆した」と報道。市場の注目が集まりました。
日本は世界最大級の米国債保有国であり、その規模は約1兆1,259億ドル。もし本当に売却に踏み切れば、米国の国債利回りは急上昇し、借入コストが増加。世界の金融市場全体に波及するリスクがあると懸念されてきました。過去には1997年、橋本龍太郎元首相が「米国債を売却したい誘惑に駆られた」と述べただけで米国株式市場が急落した事例もあり、今回の加藤氏の発言も即座に訂正と火消しに動いた形です。
加藤財務相は4日の会見で、「売却の意図はない」「カードを切るかどうかは別の判断だ」と改めて強調。あくまで交渉上の表現として使われたことを説明しました。また、米国債は為替介入などに備えた外貨準備の一部であり、「十分な流動性を確保するために保有・運用している」とも述べ、経済安定のために不可欠な資産であることを示しました。
海外では、元バイデン政権のエコノミストや国際経済の専門家たちが「日本の米国債売却は二重の刃」だと指摘。つまり、たとえ外交的なカードになっても、実際に使えば日本自身の金融市場にも深刻な打撃を与えるリスクがあるという意味です。また、米国からの報復的な関税措置や、安全保障面での軋轢が生まれる可能性も否定できません。こうした状況を踏まえると、日本政府としては現実的な選択肢ではないと見なしているのが本音です。
とはいえ、今回のやりとりは、日米間の緊張感ある貿易交渉の舞台裏を浮き彫りにしました。交渉の場ではあらゆる可能性が検討される一方で、実際に踏み込むかどうかはまた別の次元。日本は引き続き、自由で公正な多国間貿易体制の維持を掲げ、ASEANや欧州諸国との連携も強化しつつ、関税撤廃に向けた対話を続けています。
今回の発言を受けて、SNS上では日本政府の姿勢に対する投稿が相次いでおり、特に英語圏でのコメントが多数寄せられていました。その一部をご紹介します。
海外の反応
👩💼 トランプの貿易戦争により、日本が初めて米国債売却をほのめかした。中国も1.2兆ドルを握りつぶすと囁かれる。これが米国に吉となるはずもないわ。
👨💼 日本は米国債の最大の外国保有国だ。プラグを握る手を解かれた瞬間、金利は跳ね上がり、米国債の需要は崖っぷちに。サムおじさんは、これまでにないスピードで血を流すだろう……。
👨🏽💼 財務省は自国が債券売却を脅かしも意図もしていないと明言した。あれは文脈を切り取られた一言に過ぎない。仮に売却しても、円高が進み、輸出に深刻な影響が及ぶだろう。
🧑 日本への支持、それはまるで揺るぎなき信念の如し。
👨💼 私は、トヨタやソニーのような大手企業の海外投資こそ、その国の外交の向かう先を示す指標だと思っている。関税発動以前から、中国志向は明らかだった――。
👨🏼🔬 日本が明白に弱みを抱えたまま、米国に刃向かったその先を、一体どう切り抜けるというのか。この道が栄光へ続くことは、まずありえない……。
👨🏼💻 日本に駐留する米軍基地の数は、一体どれほどあるのか。
👱♂️ 日本は占領下の国だ。米国に歯向かう勇気など、彼らにはない。
👱♂️ 日本には侍がいる。トランプにはヘグセットしか――。
👨💼 ブラボーだ、日本。プラザ合意2.0はもうたくさんだ。
👨🏼💼 ドルは限界を迎える……米国債の大規模売却が市場をドルで溢れさせ、米ドルに深い奈落をもたらす。他国がこれに倣えば、それはまるで亀の歩みで仕掛けられる米ドル支配崩壊の罠だ……。
🧑💼 親密な同盟?ふふふ、米国が70年以上も付け回してきた檻から、ようやく解放される時が来たのさ。
👨💼 正直言おう……完全な崩壊しか、アメリカを目覚めさせる手段はない。この国が犯した国際的な傷跡はすでに修復不能。残る未来は究極の崩壊だけだ。幼い頃から『世界の中心』と刷り込まれた愚か者どもよ、思い知るがいい。
👨 トランプはアジア文化を一ミリも理解していない。あの乱暴者が関税戦争で勝利する未来など、まったく想像できない。
👩 日本は礼節を重んじる誇り高き国。特にビジネスの場では細かな作法が存在する。暴君トランプを、彼らが尊敬するはずがないわ。
🧑 誰も責めはしないだろう。俺だって沈みゆく船から逃げ出す機会があれば、迷わず飛び乗るさ。
👨🏼💼 もし日本が一部でも激しく米国債を解消すれば、ゆっくりとした失血では済まない。高速度の破裂だ。流動性の枯渇、リスクの再評価、そして世界へと波紋が広がる……。
👨💼 日本は同盟国ではない。戦後、屈服して以来、従属国家であって同盟国ではないのだ。
👱♂️ 日本にあるアメ車の台数?ほぼゼロに等しい。
👨🏻💼 だから何だ?紙幣を刷って、まがい物の札束で彼らを丸め込めばいいだけの話だ。
👩 我々は占領下にある。日本は独立国家ではなく、内閣は米国の指示に従わざるを得ない。教育にも介入があり、それが日本人が英語に弱い理由だ。人口減少もまた、彼らの仕業だ。
🧑 行け、日本!
👨🏾♂️ 誰が買うっていうんだ?
👨 笑うがいい。日本の債務比率はGDPの300%をとっくに超えている。米国債を『放出』するカードなど、彼らには存在しないのだ。売買には売り手と買い手が必要だが、より高利回りの新規発行債を選ぶだけだろうよ。
👱♂️ みんなでカナダや中国にも声をかけて、一緒にやれば最高に盛り上がるだろ!
👩💼 言いにくいけど、その通りよ。次に冷静な大統領が戻るまで、日本は手を引くべきね。
👱♀️ 日本よ、すべての切り札は君たちの手にある!アメリカはもう君たちに任せたくてたまらないのよ。ありがとう!
👩 それ、中華のやり方そのものじゃない?日本がやるわけないわ。中国との間に緊張がありすぎるもの。
👩💼 マーク・カーニーがEUや日本と面会して、この手段を協議したらしいわよ。トランプがこのまま暴走するならね。
👱♂️ それやったら日本円が暴落して、自国通貨を自ら殺すことになるだろ。アメリカはびくともしないさ。
👨💼 日本が保有債券を現金化しに来たら、米国にはそれをカバーするだけの通貨すら残っていないかもしれない。それが引き金となり、瞬時に恐慌――いわば“トランプ恐慌”を招くのだ。
👱♂️ いいだろう。海軍を引き上げ、中国からの防衛は自分たちで担えばいい。
👨💻 関税はドルを強くする。つまり彼らの債券の価値はむしろ上がるだけだ。
👨💻 彼らは切り札を握っているのだ。
👨💼 これが日本の消費者に跳ね返り、米国製品や技術へのアクセスが制限され、経済的苦境を招くことだろう。
👨💼 もし米国が日本との貿易を完全停止すれば、資源不足の日本経済は重大な打撃を受ける。
👱♂️ 中国が動いている以上、米国にも切り札はある。😁
👨🔬 彼らが全力で売りに出せば、大幅ディスカウントで手に入るかもしれない。われわれは即座に買い戻すべきだ。
👱♂️ 彼らは前回の失敗を恐れている。結局、またひざまずくだろう。
👱♂️ もし米国を必要としないなら、もうとっくにそうしているはずだ。これはただの見せびらかしだ。
👱♂️ プーチンの関税の真の狙いは、米国経済と対外関係の両方を破壊することだ。それゆえ、こうした脅しはすべて、暗にプーチンの計画に加担しているのだ。
コメントは以上になります。
米国債という金融資産が、単なる投資対象を超えて、国家間の力関係や信頼性、さらには安全保障にまで直結するセンシティブな要素として見られていることがわかります。
支持や期待、批判や皮肉といったさまざまな立場からの声が寄せられたことで、日本の一言が世界に与える影響の大きさを改めて浮き彫りにする結果となりました。
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